切れ痔

切れ痔(裂肛)とは

『切れ痔』『裂け痔』は俗称であり、医学的な正式病名を『裂肛』といいます。
まあ、簡単に言えば 肛門が切れちゃう病気です。正直 病気というにはごくごく軽くて、病気と呼べないものもありますがこれが、しょっちゅう起きるとさすがにイヤですし、だんだん慢性化してしまいます。
肛門はある程度伸び縮みしますが、ゴムも伸びきった状態からさらに引っ張るとちぎれてしまうように、肛門も無理に拡げようとすると切れてしまうわけです。
ですから、便秘で硬い便をしたり、強く力んで無理に便を出そうとすると肛門が切れたり、裂けたりしてしまうわけです。

切れ痔の症状

切れ痔(裂肛)の主な症状は肛門の痛みと出血です。『切れ痔(裂肛)』の痛みの特徴は基本、『排便時』ということです。『ズキズキ』痛いほかに、『ジーン』と来る痛みがあります。これは内肛門括約筋の 攣縮(れんしゅく) いわゆる 震えです。
慢性化し潰瘍が筋肉の近くまで深くなってくると攣縮(れんしゅく) を起こしやすくなり、排便時以外にも痛くなってきます。

次に『出血』です。切れたところから『出血』するのは当たり前です。
ただし何度も切れて、治って、切れて、治って、を繰り返すうちに瘢痕が硬くなり、血行が悪くなり、裂けたところは治りにくくなり、切れても出血しなくなってきます。まるで『かまいたち』に切られたように・・・・・

ですから、出血してないから『切れ痔(裂肛)』ではないとは言えません。
トイレが血で真っ赤になることもあるし、紙に付着する軽度のものまでありますが、出血の多さが『切れ痔(裂肛)』の程度と相関するわけではありません。
「油断して便が硬くなって、そのたびにいつも肛門切れて痛いです』という方や
『前は切れてもすぐ治っていたのに、最近は治らないんです。』という方が肛門科に来院します。確かに『切れ痔(裂肛)』は最初のうちは軽く裂けただけ!なのですが、繰り返すことで切れたところは、治るときに、硬くなって治ります。
そうすると、硬いところは、負担がかかった時に、また切れやすく、どんどん深くなってきてしまいます。
そして潰瘍化して周りに堤防ができて(周堤)、便のカスや汚れが排泄(肛門の淵から出にくく)しにくくなり、そこがまた炎症し、さらに治りにくくなっていくのです。

さらに
深い切れ痔(潰瘍)は周りが引きつれてくっついて治ろうとします。そうするその部位は瘢痕化し肛門は 硬くやや狭くります。そうすると切れ痔(潰瘍)がまたできやすくなりそこは周りが引きつれてくっついて治そうとする→また瘢痕化し硬く肛門はさらに狭くなる→そうすると切れ痔(潰瘍)がまたできる
といった具合に切れ痔を繰り返していくと 肛門はどんどん伸展性の悪い狭い肛門になってきます。

伸展が悪く、狭い肛門は、さらに切れやすくなり、悪循環をたどることになります。
『深い切れ痔(潰瘍)』に汚物(便のカス)が溜まりだすと、汚物が流れにくいためそこで炎症を起こし、強い痛みが出てきます。すると 炎症は周囲の組織の腫れを生みだします。潰瘍の直腸側の炎症の腫れ→『肛門ポリープ』
潰瘍の肛門皮膚側の炎症の腫れ→『見張りいぼ』と言います。裂肛は軽快すると治ったり、くっついたりして血も出なくなりますが、これらは一度できるとなくならないので 慢性的に 裂肛を繰り返しているんだなという 証拠になります

切れ痔の治療

便秘で硬い便をしたり、強く力んで無理に便を出そうとすると肛門が切れたり、裂けたりしてしまうのが「切れ痔(裂肛)」なわけですから
肛門に大きな便、太い便、硬い便が通らなきゃいいわけです。
肛門は筋肉(内肛門括約筋)によって締められ便が漏れないようになっているわけですがゴムのようにある程度伸び縮みできます。
ただし、ゴムでも伸びきった状態からさらに引っ張るとちぎれてしまうように、肛門も拡がる(伸展)より無理に拡げようとすると切れてしまうわけです。
要するに切れ痔の予防のポイントは排便コントロールにて便を溜めず、程よい軟らかさの便を毎日するように心がけ、排便の時間を長くしないようにすることです。

「便秘」と「痔」


『便秘の方』はだいたい『便秘』になってから『便秘薬』や『浣腸』で便を出し、それが便秘の治療と思っていませんか?なら・・・・歯も『虫歯』になってから『歯を磨きますか?』違いますよね?
『便秘にならないようにする』=『虫歯にならないように毎日歯をみがく』
つまり、便秘になってからではすでに便は硬く、力まないと便は出ないわけですから、便秘にならないようにすることが便秘の治療なのです!
つまり、蚊がたくさんいる藪の中で『虫刺されの軟膏』を使用していても、また蚊に刺されればいつまでたってもかゆみはおさまりません
ですから、まず蚊のいる藪から出る。ことが大事!
つまり便秘にならないように 便を軟らかくしていれば肛門にかかる負担は減り、結局軟膏坐剤も使用しなくてもOKというのが最良の治療です。
それでも蚊に刺されてしまった。つまり「いぼ痔(痔核)が腫れた」、『肛門が切れた(裂肛)』の時は軟膏等をストックに持っていて使用すればいいのです!

切れ痔の手術

肛門が切れると→強い痛みがでる→排便をがまん→さらに便秘や硬い便となる→さらに切れ痔が深く潰瘍化する→肛門が狭く(狭窄)→また肛門が切れます
つまり『切れ痔(裂肛)』の手術とはこの裂肛の慢性化 悪循環 となっている サイクル を断ち切ることなのです。
つまり
a)硬く深くなってしまいすぐ切れてしまう裂肛部分を 軟らかく切れにくいものに治す→潰瘍切除
b)便が出るのに邪魔なできものを取り除く
→肛門ポリープ・見張りいぼを切除
c)硬くなり狭くなってしまった肛門を 柔軟な通常の広さの肛門に治す
→線維化し硬くなった内肛門括約筋を切開です。