胃カメラ診断に人工知能(AI)が活躍!
このたび、当法人の関連施設『日暮里健診プラザ』に画像診断支援人工知能(AI)技術「gastroAI™ model-G」が導入されました。
「gastroAI™ model-G」は胃カメラに特化した内視鏡画像診断支援ソフトウェアで、導入は都内の医療法人内で初となります。
内視鏡検査(胃カメラ)施行時に、医師の経験・知識と、AIによる画像解析技術を組み合わせることで、さらに高い精度でがんの疑いがある領域を検出することが可能となりました。
要するに、胃カメラの診断は当施設の消化器専門医が行い、その診断サポートを行ってくれるのが人工知能(gastroAI™ model-G)というわけです。
人工知能がサポート???
ちょっとわかりにくいですね。
では、胃カメラで「胃がん」がどのように発見されるのか、具体的にお話しします。
「胃がん」が発見されるには次のような過程があります。
① はじめに、医師が胃カメラを行い、検査中に「がん」の疑いのある場所を見つけます。
② 次に、その場所の組織を採取し、生検検査と呼ばれる、顕微鏡の検査に提出します。
③ 提出された組織を病理診断医が「がん」あるかを診断します。
進行がんの場合は、肉眼的(目で見て)に「がん」であることが明らかなので、検査中に疑いのある場所を見つけ出すのは容易で、医師が生検検査に提出した場合、「がん」と診断されることがほとんどです。
しかし、これが「早期の胃がん」であるとちょっと状況が変わります。
検査中に「がん」の疑いのある場所を見つけるのか非常に難しくなるのです。
そこで人工知能(AI)に、医師のサポートをしてもらうという訳です。
ちょっと気になるのは、「医者なんだからAIなんて使わないでもきちんと診断してよ!」という意見があること。
もちろん、医師は専門職であるので診断できなければなりませんし、日々、その努力を行っています。
しかし、残念ながらその診断は完全ではありません。
例えば、次の写真をみてください。
実は、この中に『早期の胃がん』があるのです。わかりますか???
どこにあるかはさっぱりわかりませんね。
消化器専門医が見ると怪しい場所は見えてくるのですが、熟練医でも悩むことは多くあります。
このように『早期の胃がん』の場合、発見することがとても難しく、消化器専門医が丁寧に注意深く観察しなければ、なかなか発見ができません。
ある報告によると、早期胃がんは熟練医でも発見が難しく、胃内視鏡検査における胃がんの見逃しは4.6%〜25.8%とされています(*1) 。
それが人工知能の補助によって、より正確な診断につながるというわけです。
ただ、人間が完璧でないように人工知能(AI)も完璧ではありません。
これからの時代は、人間と人工知能(AI)がともに力を合わせてより良い医療を提供してくことになるでしょう。
人工知能(AI)がついに、医療分野にも進出してきました。今後も受診者さまにとって有益となり得る良いシステムは積極的に取り入れていく予定です。
*1: Hosokawa O,et al. Difference in accuracy between gastroscopy and colonoscopy for detection of cancer. Hepatogastroenterology. 2007;54(74):442-444.