肛門のかゆみについて

肛門のかゆみについて
肛門のかゆみについて

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寺田 俊明 Toshiaki Terada

寺田 俊明Toshiaki Terada

  • 理事長
  • 院長
  • 大腸肛門病センター長

寺田病院HP:
https://terada-hospital.or.jp/

肛門の周囲の『かゆみ』を訴える患者さんが多くいます。
① 肛門周囲の皮膚に明らかな病変を認めない→搔き(かき)むしることで皮膚のバリアが壊れ結果的に『かゆみ』が生じる
② 肛門皮膚に『かゆみ』を起こす病気がある
という2つの理由がありますが・・・・・
ほとんどは①です。
それを『肛門掻痒(そうよう)症』といいます!
① は皮膚を守っている、正常な角質層のバリアが低下してしまったために起きます。肛門掻痒(そうよう)症

便秘や下痢が原因のことも多く、まずは排便のコントロールがとても大事です!
そして悪いサイクルを断ち切るように
『洗い過ぎない!』
『排便後強く擦らない』
『アルカリ性の石鹸で洗わない』
ことです。
それでもダメなら薬は軟膏を塗ったり、花粉症の時に使うような抗アレルギー剤の内服です。
症状が軽度の場合はステロイド入りの軟膏を使用しなくても、炎症をおさえ、傷の治りを早くするアズノール軟膏や、肌の表面に油膜を張り、肌の乾燥を阻止してくれるワセリンを塗るだけで軽快します。
それでもかゆみがひどい場合はステロイド外用剤を使います。ステロイドはご存じの方も多いと思いますが、炎症を鎮める作用(抗炎症作用)が強い反面、免疫抑制作用も強く、いわゆる自分の(皮膚)の抵抗力も下げてしまいます。なので、普段ならば、はねのけられる様な弱い菌(真菌など)も感染しやくなってしまうのです。
ですから、ずっと使っていると良くないので徐々にステロイドの強さを弱くして、結果的にやめていく『漸減療法』が推奨されています!

ポイント!肛門周囲のかゆみに

ステロイド外用薬を使用する際には『真菌症』ではないことを確認して使わないと、もし『真菌』がいた場合はより増殖させ悪化させてしまう可能性がある!

② の場合は『かゆみ』の原因となる病気の特定が大事です。
・皮膚の真菌症(カンジダや白癬など)
・アレルギー性皮膚炎→かぶれ(下着や軟膏など)
・皮膚の病気(アトピー性皮膚炎、乾癬、尖圭コンジローマなど)
・痔疾患(痔核や粘膜脱の脱肛、痔瘻、裂肛)
そしてその原因疾患を治すことが重要です

『かゆみ』の原因となる病気の特定特に先ほど話した真菌症に関しては、かゆみの軟膏が効かなかったからと言って、すぐにステロイド外用剤を塗り始めると、最初は効いた感じがするものの、むしろ真菌が増殖し、かえって完治が難しくなってしまいます。
まずは、肛門科もしくは皮膚科で、肛門付近のかゆみの場所に『真菌』がいるかどうかの検査をしてもらってから、ステロイド外用剤を使用できるかどうかを検討してもらいましょう。